買い付けの合間、デンマークの先生マチルダとユーリアと待ち合わせて、コペンハーゲンにあるデザインミュージアムへ。2月は Irma 展をひとり急ぎ足で鑑賞しただけだったので、新しくなったコレクションルームを彼女たちの解説とともに堪能しました。
「ここに根付があるよ」と、Japonisme のキャビネットを指さすユーリア。彼女はこの日、日本を初めて旅した時に買ったという渋い着物を羽織っていました。
先日、デンマークを代表するテキスタイルブランド Kvadrat からマチルダとユーリアによる Aggebo & Henriksen が新しくデザインしたテキスタイル Time recycled が発表されました。
https://www.kvadrat.dk/ja/time-recycled
☝︎Kvadrat のWebサイトでは彼女たちのインタビューも公開されています。
撮影時のエピソード(奇跡的に晴れた今年の夏の日のこと!)をデザインミュージアムでうかがいながら、彼女たちがたどってきた30年について思いを巡らせました。そして、わたしが二人に出会って今年で20年になることに気づいたのでした。
試みに、動画の英語字幕を翻訳してみましたので、あわせてご覧ください。
Time recyled のためのインスピレーションになったのは、形や手触り、さまざまな色を見比べながら浜辺で石を拾うというよくある経緯です。見つけた石を水の中に投げ入れて、もっと美しく魅力的な別の石を拾ったり。私たちみんなが経験したり、感じられることだと思います。
私たちは Aggebo & Henriksen、テキスタイルデザイナーです。デンマーク王立アカデミーで30年前に出会い、それからずっと一緒に仕事をしてきました。
私たちがデザインする過程はいつも、プロセスを導くための感性的思考を発展させるところから始まります。Time recycled は石についての普遍的なアイデアでした。
様々な色彩理論に基づきつつ、まず最初に紙を色の溶液に浸し、それから経糸(たていと)のテストをして、今回の色を作り上げるための基準となるものを作り展開させました。そうして色をどうミックスするかを見つけたのです。
私たちは大抵の場合、実際の品質に近づけられるよう、小さな試作品を織るのに織機を用います。石の色はもちろん自然で、とても滑らかな表情を醸しだしています。テキスタイルの色は、経糸と緯糸(よこいと)の二色によって構成されます。経緯(たてよこ)が均一な織りだと、単色に見えるだけでなく、窓からの光や布の折り返しによって色彩の立体感が増します。
私たちが一緒に行った最初のプロジェクトは持続可能な室内装飾用のテキスタイルでした。二人で Kvadratの創設者 Poul Byriel に提案したのです。その提案は将来への夢と視野に満ちていたのですが、当時の工業生産の規模ではまったく不可能でした。
それがおおよそ30年前のこと。今はテキスタイル工業が本当に発達したおかげで、持続可能な繊維がとても革新的に機能しています。
リサイクルされた品質が機能するのは素晴らしいことです。オリジナルの品質とは少し異なってはいましたが、過程を経て改良され、今では高品質で表現力に富み、とても美しいものになっています。