Umwelt

Textiles & Objects

The Work of Shiro Kuramata: A Microcosmos of Memory

今日から京都国立近代美術館で展覧会『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』が開催されます。

京都への巡回を昨年から心待ちにしていました。東京の展示にいらっしゃったお客さまからいただいたポストカードをいつも傍に置きつつ。

展覧会場は中央の階段を上がった2階です。会場へ入るまでに、実際に腰かけられる《ハウ・ハイ・ザ・ムーン》がありました(会期中に数回の入れ替えがあり、別の椅子の座り心地も確かめられるようです)。

ゆったりと構成された空間を漂うように鑑賞しました。家具類は目線の高さでかなり近距離から見ることができます。これまでは写真で正面の状態しか知らなかったものの細部についての発見がいたるところにあってうれしい。

額装された「夢日記」(ラフなスケッチがかわいい)、直筆の図面やノート、お手紙など、倉俣さんの手のあとが見える資料も随所に展示されています。

高度経済成長期からバブルへと日本がまるで膨れ上がるように目まぐるしく変化していったなかで生み出されたものたち。倉俣さんご自身は「ものは残らなくていい」と明言されていたそう(実際、内装に携わった店舗やショールームの多くは現存していない)ですが、いま残されたものは商業デザインの枠を遥かに越えた作品として存在しています。

そのひとつひとつが、記憶とアイデア、当時の職人技と素材が詰まったタイムカプセルのようであり、創作の源泉や背景について知れば知るほど魅了されます。参考になる書籍や雑誌はいくつもあり、今回の展覧会図録も興味深い内容です。京都との繋がりについて初めて知ることができました。

わたしが初めて倉俣史朗の作品を観たのが25年前のこの場所だったのもあって、とても感慨深かったです。当時の展覧会は今回ほど規模が大きくなかったのですが、1階の白く明るい空間で、驚くほどクリアな《ミス・ブランチ》に見入ってしまったことをありありと思い出しました。

会期中(展覧会は8月18日まで)、また足を運びたいと思います。

帰り道、いちばん印象深かった《バー オブローモフの模型》の記憶を反芻しながら。