Umwelt

Textiles & Objects

My Name is Death

最近のおやつは、お客さまが「東北旅のおみやげ」とご持参くださった四角で薄いかりんとう。さくさく食べてしまいそうなので、気をつけて小皿に取っています。

Snacks and black tea while reading

傍の文庫本は「アストリッドとラファエル」第5シーズンが待ち遠しくてじりじりしているわたしに「フルニエになれるかも」と、友人が貸してくれました。

いつもなら書店のカバーをかけて渡してくれるのですが、この本にはそれがありませんでした ☠️ お店でご覧になったお客さまをどきっとさせていたらごめんなさい。

『死体は語る』は、著者が監察医になった昭和30年代から50年代に起こった様々な事件とその時代の法医学について、やさしく明快につづられています(単行本の出版は35年前の1989年)。

「死者の生前の人権を擁護し、社会秩序の維持に貢献している」監察医制度を世に広く知ってもらう目的で書かれ、実際にベストセラーとなって続編も出版されたそうです。

今ならすぐに結論が出そうな事件もむかしは手探りでした。文字どおり地を這うような苦労が垣間見えます。人間の知識と勘、そして運が解決を左右する大きな要素になっていたことがよく分かりますが、事件そのもののタイプが現代とは異なっていたようです。

この文庫本(初版は2001年)のあとがきにさえ「恐るべき時代になってきた」とあるので、一体わたしたちはどんなに恐ろしいときをいま生きているんだろうと寒々とした気持ちになります。でもその反面、生きていられることは当然じゃなく、奇跡の連続なのではという考えが頭をもたげてきます。

まさにメメント・モリ。死を想いつつ、大切に日々を送りたいものです。

今日もどこかで死体の声を聞いてくださっている監察医の先生方(ひとまずフルニエ)に思いを馳せて。

高校生のころに『遊星からの物体X』を観てから、ジョン・カーペンター作品の虜になりました。まえにも動画をご紹介したときに書いたと思うのですが、カーペンターは映画監督のみならず、自ら音楽を制作するミュージシャンでもあります♪