先日は北村美術館に行き、この秋の展示を鑑賞しました。
I visited to Kitamura Museum in Kyoto last day. The museum owns special antiques selected by Mr. and Mrs. Kitamura.
展示品のひとつに黒田辰秋による『耀貝螺鈿腰張』(茶器)があり、どっしりとしたその存在感に見入ってしまいました。箱書きに「皇居新宮殿に使用した貝の残りで作った」という旨が添えられていたのが印象的で興味が湧き、帰ってから調べることにしました。
黒田辰秋が宮内庁から制作の依頼を受けた皇居新宮殿の正殿用扉飾りが完成したのが1967年。そして、北村美術館所蔵の茶器(茶入となっている記述も確認 🔍)は1970年につくられていました。
ちょうどお店の「小さなあがたの森書房」の本棚にあった1969年発行の『民藝』、表紙写真がまさに皇居新宮殿の扉飾りです。本人による制作の苦労に関する文章を読むと、大量の「メキシコ鮑」を必要としたことがわかり、その残りを大切につかうことで生まれたのがあの美しい茶器だったのだなとしみじみ思い返しました。
いつ訪れても感じるのですが、北村美術館のコレクションは、まさに逸品ぞろいなのはもちろんのこと、どこか格別の品があるように思えます。
ひとりで静かに鑑賞できるたまの機会は、ほんとうに贅沢な時間です。