年始に映画『完全なるチェックメイト』を観に行きました。チェスの世界チャンピオンだったボビー・フィッシャーの半生がトビー・マグワイア主演で描かれています。
映画のクライマックスは1972年、米ソ冷戦の最中にアイスランド・レイキャヴィクで行われたフィッシャー対ボリス・スパスキーの世界チェス選手権。両国の代表としてチェスに挑むこととなる二人は、徐々に極限状態へと追いつめられていきます。例えば、フィッシャーはムービーカメラや観客が発するわずかな音さえ気になり始め、会場を小さな卓球室に変更させます。他方、スパスキーは対局で使用されたタイムライフチェアのなかに振動するチップが埋め込まれているので気が散ると言い、その椅子をエックス線撮影させますが何の異常も見つかりません。
わたしは映画の観客でありながら、当時の対局(国家の威信をかけた代理戦争に押しつぶされそうになる二人)を間近で観ているような不思議な気持ちになりました。
その後すぐにフィッシャーの伝記を読みました。映画ではあまり描かれていなかった家族のことや友人となるチェスのマスターたちについての記述はとても興味深いものでした。そしてまた、フィッシャーの強烈な個性と底知れない記憶力に基づく分析能力には、読み進めながら恐怖を感じることもありました。
何より驚いたのは、スパスキーと生涯にわたって親交があったことです。いわば二人は戦友のようなものだったのでしょうか。
さて、わたしが実際にチェスを始めるのはこれからなのですが、駒の動き覚えられるかな。