Umwelt

Textiles & Objects

Winter Pageant

北欧の刺繍をお店に並べました。

寒い冬にあたたかな彩りを添えてくれるこれらの布を眺めていると、デンマークにいたころの記憶と重なります。というのも、以前このブログでクラスメイトのインガを紹介しましたが、自宅の台所で調理する彼女の姿と、刺繍に描かれた場面がなんだか似ているのです。

このときは、ちょうどクリスマス前で、部屋のなかにツリーがとても素敵に飾られていた記憶も一緒によみがえりました。
こちらは、彼女のうちの近くにある湖へと続く道。

ある冬の日の出来事。

近道をしようと通った森のなかで、木の根元にいるハリネズミを発見しました。立ち止まって見つめてもまったく動きません。わたしは本来生きものが苦手で、そのときは急いでいたのもあって、あまり近寄らずに立ち去りました。

そして、数か月後。

ふと思い立ってまた同じ場所を通ると、あのときのハリネズミが…。ただし、こぽっと膨らんでいた体はぺしゃんこになっていたのです。

驚きとともに、好奇心が湧きました。側にあった枝でハリの生えた背中の部分を恐る恐るはがしてみると、そこにはちらりと白っぽいものが見える土があるだけ。寒い時季だったので、凍っていたのかもしれません。わたしは力を込めてその土を掘り、袋に入れて持ち帰りました。すぐに、そっと水で洗ってみたところ、とっても小さな歯と背骨の部分が現れたのです。わたしにはそれらが小さくて美しい宝物のように思えてきました。そこで、背骨は順番に糸を通して繋ぎ、歯と一緒にちょうどよい大きさの箱に入れました。

冬のデンマークの想い出は、かけらとなって今もそのなかに大切に仕舞われています。