およそ二週間にわたる「雪消月の布市」を終えました。
スウェーデンのアンナさんからは今、 “Snön snart borta”(雪はもうすぐ消えるよ)と、庭の写真とメッセージが届いたところです。
❄️Yukigetsuki no Nunoichi🪡 has come to a close🫠🫥
I really appreciate all of your thoughtfulness and consideration.
Just now, Anna from Sweden sent me the photo in her garden with the message “Snön snart borta,” meaning the snow is almost gone.

布市の期間に特化して壁面などにさまざまな大きさの展示することは、わたしにとってもテキスタイルの新しい魅力を発見する大事な機会となっています。
ほぼこのブログのみの告知にもかかわらず、読んでくださっている方が気にかけて実際に足を運んでくださることをとてもありがたく、うれしく思っています。
お客さまはご友人と旅行中だったり、これからお引越しされる前のごあいさつだったりと、お会いしてこちらが驚くこともしばしば。ご来店、まことにありがとうございました。

以前、デンマークの先生マチルダとユーリアに「日本には『衣食住』という言葉があってね」と話したとき、彼女たちはちょっと驚きつつ感心したようにこう言いました。
「最初が衣、テキスタイルなのは、例えば新生児がこの世に生まれて初めて包まれるものとして考えても理にかなっているわね。デンマークではそれにあたる言葉が思いつかないわ」
生活に欠かせないものの筆頭に挙がる衣、衣服。でも、わたしが扱う古い手刺繍や手織りといった(服のような形になっていない)平坦な布類、しかも家庭でつくられたテキスタイルはともすれば見過ごされがちな前近代的なものであり、決して生活必需品とは呼べません。

旅先のスウェーデンやデンマーク、オランダといったさまざまな場所で次々と目に飛び込んでくる古い布は一見どれも魅力的に映ります。が、「果たしてこれが今の日本の室内空間に活かせるのか?」と自問自答しながら慎重に買い付けています。そのとき、現地では役割を終えた小さな手刺繍や手織り布の見事なことに驚き感動しつつ、ふと気づくと興奮しているのはわたし一人という状況がよくあります。
その理由のひとつは「生活環境の変化」で、もうひとつに「往々にして、あまりに見慣れると人は興味を失ってしまうこと」があると思います。
昔のスウェーデンでは寒さを凌ぐために必要不可欠だった布、暗い空間を鮮やかに彩ったり、季節折々に合わせ飾り付けられてきたテキスタイルの数々。家庭でつくられた古い手刺繍や手織り布には、費やされた時間や思いに比例するような完成度と品質の高さに目を見張るものがあります。でも(過去の豊かな自然から生まれた麻やウールといった)布という素材の弱さに加え、必需品ではないものの宿命か、あまり顧みられずに姿を消すしかないのが現状です。

ウンベルトでは、そうしたテキスタイルの絶滅危惧種をこれからもご覧いただけるように心がけます。種の保存をしっかりと胸に刻み。
そしてお客さまそれぞれのウンベルトに合った使いかたや飾りかたを見出していただけるよう、少しでもお手伝いできればと思っています。