先日、展覧会『北欧の神秘 ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画』を観に佐川美術館へ初めて行きました。
知人から「北欧神話の絵やタペストリもあったよ」と聞いて知った展覧会。19世紀から20世紀初頭にかけての北欧の絵画はまだほとんど観たことのない分野だったので、とても興味が湧きました。
I visited to the Sagawa Art Museum in Shiga prefecture for the first time to see the exhibition The Magic North : Art from Norway, Sweden and Finland.
水の中に佇んでいるような建物と風にそよぐ葦が印象的でした。
館内の彫刻はすべてコレクションの佐藤忠良作。佐藤忠良というと、条件反射で舟越保武の姿と彫刻が思い浮かびます(青木繁と聞くと、坂本繁二郎が浮かぶように)。そして今年亡くなられた舟越桂の木彫作品から、なんとなく甲田益也子さんの姿を連想したところでお目当ての展覧会場にたどりつき、我にかえりました。
会場内をゆっくり三周くらいはしたかなと思います(作品は撮影禁止です)。風景画が多く、そこに漂う空気までこちらに流れてくるかのよう。ノルウェーのエドヴァルド・ムンクによる色彩豊かな絵画はとても印象的でした。凍りつきそうな冬のフィヨルドが、その色彩のために生命を宿したように生き生きとして見える不思議。
また、いくつかあった19世紀末のスウェーデンの室内を描いた作品には『買い付け旅で出合う古い日用品はこういう空間にあったのだろうな』と親近感を覚えもしました。描かれた人々の衣装にも見入ってしまいます。
図録を片手に館内のカフェへ向かい、早めの昼食をとりました。
もちろんこの場所も初めて。水面のさざなみから、さっき観たばかりのペッカ・ハロネンによる《河岸》やむかし観た福田平八郎の《漣》の記憶を反芻しながら、ゆっくり図録を眺めました。
そして帰り道、琵琶湖大橋からの眺め。
近江八景のひとつ、堅田落雁に描かれた浮御堂が遠くに見えました。湖面に突き出たたくさんの杭は伝統的な漁法「エリ漁」のためのもので、琵琶湖の冬の風物詩なのだそうです。
雨女にしては奇跡的によいお天気だった一日。電車の窓から見えた風景も、夢のなかのようでした。
佐川美術館は遠いイメージがありましたが、京都から1時間もかからずに行ける場所でした。また機会があれば訪れたいと思います。
スカンディナヴィア半島にある3カ国それぞれの国立博物館にもいつか行ってみたいな。
会期がほぼひと月(11月2日から12月8日まで)と、どうしてこんなに短いのかと思っていましたが、図録には本来予定されていたであろう二ヶ月間の日程が記載されていました。諸般の事情ですかね。
来年2月からは静岡市美術館で公開されるようです。お時間あればぜひ。