Umwelt

Textiles & Objects

it’s in our hands

日の沈む時間が遅くなってきたので、気まぐれに遠回りして帰宅します。名残りの桜を愛でつつ。

With the sun setting later these days, I’m taking a scenic route home to savor the lingering cherry blossoms.

その帰り道、古い桜の幹にあった蜘蛛の巣は夕暮れどきの光に照らされてか、金色に見えました。

Caught in the evening light, a spiderweb on an old cherry tree shimmered like gold.

大人になって買った絵本『くも』。ある夏の夕方から始まる、一匹のオニグモの夜が見事に表現されています。

In the picture book “Spider,” sculptor Susumu Shingu brilliantly portrays the night of an orb-weaver spider, depicting the passage of time from its beginning on a summer evening.

わたしは旅に出るとき関西国際空港をつかうことが多いのですが、空港に着いて新宮晋さんのゆっくりと動くモビールを見上げるたび勇気づけられています。そして今では、旅先で美しい蜘蛛の巣を見つけると『くも』のページが自然と頭に浮かび、そのときの情景と結びついた記憶が残るようになりました。

お店のどこかで蜘蛛の巣を見かけても取り除くのがためらわれるのは、大切な記憶のスイッチがオンになっているから、というのは単に怠惰なわたしの言い訳です。