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Je suis Singo

先日、大好きな楳図かずお先生の『わたしは真悟』が、フランスで「遺産賞」(Prix du patrimoine)を受賞したとニュースで知りました。この賞は、由緒あるアングレーム国際漫画フェスティバルにて「遺産として永久に残すべき作品と認められた漫画に与えられるもの」なのだそうです。

Congratulations on winning the award ‘Prix du patrimoine’, Mr. Kazuo UMEZU!

昨年秋から『わたしは真悟』のフランス語版(全6巻を予定)は刊行され始めたばかり。こちらはオリジナルの日本語版です。興味のある方はぜひ読んでみてください。

写真は、わたしが所有している楳図作品(ポストカード含む)の一部(『14歳』は20巻もあるので二つに分けています。有名な『漂流教室』、『イアラ』、『洗礼』、『シリーズ 〈こわい本〉 』などは省きましたが、本当にどれも代表作といってよい面白い作品)です。

実は小学生の時に、ちらりと見た『恐怖』や『怪』、そして『まことちゃん』の衝撃があまりに強すぎて、以来ずっと避けていたにもかかわらず、『わたしは真悟』を読んだことをきっかけとして他の楳図作品にも少しずつ興味を持つようになり、それで一時期(幼い頃のトラウマを克服するかのように)、次から次へと集めていった経緯があります。

They are so interesting though you may look quite horrible. Now I tell you that. But when I was a child, I glanced it and felt so scared. Their fear remained in me and I couldn’t touch them for a long time. ‘My name is Shingo’ is the monumental work that I read horror manga written and illustrated by Kazuo UMEZU again.

これらの作品は随分前に描かれました。しかし改めて読み返すと、人間の心理や自然災害の恐ろしさ、恐怖の裏返しとしてのギャグといったテーマは言うに及ばず、すでに1980年代から90年代初めには、コンピュータネットワークと人工知能(『わたしは真悟』)、バイオテクノロジーと生命倫理(『14歳』)といった今日的な問題へと踏み込むほどの先見性とそれらを具現化するための精密な描写による独特の世界観を持っていることに気づかされます。

一言でいうと、楳図作品はぬめっとした湿り気のある懐かしい未来を描いている。だからこそ、読む人の意識下にある様々な感情を喚起し、『わたしは真悟』を永久に残したいと思わせるほどの、他に類を見ない魅力を放っているのだと思います。

His creativity show us the foresight to our contemporary problems such as natural disasters, psychology, biotechnology, bioethics and AI.